「建築会社ってたくさんあるね!」、「うん、出来れば安く抑えたいけど性能が心配じゃない?」。
ハウスメーカーのホームページを見ながら建築会社を探しています。
どの会社も『高性能』とか、『安心の構造』とか書いてある…」。「専門用語も多くて違いが全然わからない…」。
そこで今回は、「家の性能」についてわかりやすく説明します。

時代とともに変化してきた「質」への意識

現在の日本の住宅の歴史は戦後の高度成長期に始まりました。首都圏はじめ都市部に人口が集中したことで、住宅が足りなくなり「とにかく数を建てる!」を目標にした大量生産の時代に突入したわけです。「質より量」が優先。

そのまま経済成長を続ける日本は『バブル期』に突入していきます。この時代のキーワードが『土地神話』と『住宅すごろく』です。
『土地神話』とは、当時の不動産の価格は上がり続けるという定説で、土地などを持っていれば値上がりすると考えられていました。一度買えば値上がりして売れる最高の資産です。
『住宅すごろく』とは住まいのステップアップの考え方。結婚して『賃貸』⇒『分譲マンション』⇒『売却+建売分譲購入』⇒『売却+庭付き一戸建ての注文住宅』と住み替えていきます。
バブル期なので、家を買う人も「気に入らなければ建替える」というお金の心配をしない時代でした。大事なのは『土地神話』が続いていたこと。土地の値段が上がるので『購入時より高く売れる=住み替えも容易に出来る』でしたから、長く住める家は、あまり必要がなかったのです。
バブル崩壊後は土地値が大暴落。住み替えを前提としない『生涯住む家』、また日々の光熱費を抑える『断熱性の高い家』が、次第に人々の心を掴んでいく事になります。

そして1995年、阪神淡路大震災が起こり、家に対する考えが『地震に強い家』へと大きく変わりました。時を同じくして限られた資源を有効に活用するエネルギー問題、建物を壊しては建てる、使い捨ての廃棄問題など環境に配慮する時代の背景から『省エネ』『高耐久』という「質」が求められるようになりました。

「地震に強い」「高気密・高断熱」、どこの会社も高性能をアピール

阪神淡路大震災をきっかけに建築基準法が変わりましたが、住宅の性能を測る【基準】はないのです。
「どういうこと?」「どこのホームページにも「高性能」って書いてあるけど…」という質問が返ってきそうですね。例えば「建築基準法改正前の建物と比べて地震に強い」や「10年前の自社の建物と比べて高気密・高断熱」と表現すればどうでしょう。または「法律で求められる強度よりは少々優れた地震に強い家」。なんとなくおわかりになりますか? これは過去の建物を基準にしたり、法律上必要な最低限を基準にして比べています。基準がバラバラなのでどれも高性能に間違いはありませんが、今から家を建てようとしている人は『現在の性能を、会社ごとに横並びに比較したい』のでは。

ここからが本題! 「では、どうやって見分けるの?」と思いますよね。それを見分ける便利なモノサシがあります。【住宅性能評価書】です。堅苦しい言葉ですが、簡単に言えば「家の通信簿」。きちんと性能を数値として確認できる便利なモノサシと思ってください。

基準を設けた公正な評価

もう一つ大事なことは、点数を比べるうえで、国に登録された公正な『第3者機関』が審査、作成しているということ。ホームページやカタログに掲載されている会社独自の判断ではありません。判定基準は共通ですから、『高性能』などの言葉ではない公正な評価内容です。

評価項目は、全部で10項目あります。わかりやすい言葉でいうと、①地震の強さ、②火災時の燃えにくさ、③どれくらい長持ちするか、④高気密・高断熱、⑤部屋の換気、⑥メンテナンスのしやすさ、➆室内の明るさ、➇遮音性の高さ、⑨バリアフリー、⑩防犯性の高さ、以上の10項目です。
この項目ごとに、「家の通信簿」で1とか2といった数字で評価されます。1より5の方が性能が優れています。これならわかりやすく便利ですね。

みんなが気になる「耐震」「断熱」「耐久」は通信簿の必須項目

10項目もありますが特にこだわってもらいたいのは、『地震への強さ=「耐震性」』と、『日々の光熱費に直結する=「断熱性」』と、『どれくらい長持ちするか=「耐久性」』の3つです。
①「耐震性」では、地震や風、積雪などに対する建物の強さを評価してくれます。「もしもの時」にはなりますが、自然災害の中でも予報が出来ない地震は突然起こりますので家族を守るためにも気にして欲しいポイントです。

②「断熱性」は、建物の壁や床、窓の断熱性などで評価されます。光熱費のかかる夏、冬に高断熱でエアコンの無駄を減らす事は月々の光熱費負担を軽くします。

③「耐久性」では、柱や土台などの最も基本的なところに使われる材料がしっかりしているかどうかを評価します。自分が生涯住む場合も、売却する場合も耐久性の高い評価を受けた家は安心です。車、バッグ、スーツなど普段から高額な買い物ほど耐久性を意識して購入しているのではないでしょうか? 長持ちすれば結果的に『安くつく』ことになりますので是非、意識して下さい。

家の通信簿を取得するメリットは?

「家の通信簿」を交付してもらうことはお墨付きをもらうことですから、安心感は大きいですね。でもそれ以外にも大きなメリットが3つあります。

1つ目は、住宅ローンの金利の優遇です。
フラット35Sでは、省エネ性や耐震性など、一定以上の評価を受けていると当初10年間(または5年間)年▲0.25%の金利が優遇されます。

2つ目は、地震保険料の割引です。
評価された耐震性の評価に応じて、▲10%~▲50%の割引が適用されます。

3つ目は、売却時に強みになることです。
「今から建てようとしているのだから、売ることなんて考えてない!」という方が多いと思いますが、何かの都合で住み替える場合、「家の通信簿」があるとないでは買う人の安心感が違います。中古住宅の強い味方になってくれます。

これからの家づくりは 「コスト+性能」が大事

買い物をする時、欲しいと思った物は「予算関係なしタイプ?」、それとも「コスパの良いものを探すタイプ?」。ご自身はどちらでしょう。
家も買い物です。それも高い買い物です。無理するくらいお金をかければ、100%満足の家を手に入れることができるでしょう。でも、「お金はかけたくないけど性能も妥協したくない」と考えている人が多いのです。あくまで求めているのは『コスト+性能』を低予算で叶える住まいという事になりますね。
一方で家の通信簿では、大きな窓や吹き抜けをつければ室内の明るさの判定は高くなりますが、断熱性や耐震性は少なからず下がります。評価分野によって相反する結果になる場合もありますから、「ここだけははずせない!」という間取りや性能にこだわった家を選択するのもひとつの方法といえます。
家づくりは性能だけではありませんが、家族の「こだわりたいポイント」を話し合う時にも「家の通信簿」は様々なモノサシしとして役に立ちますよ。

このレシピのおさらい

国に登録された公正な第三者機関が評価する【住宅性能評価】は比較検討に適した『家の性能のモノサシ』となるので非常に便利。また高性能な家には住宅ローンの金利優遇や地震保険の割引などもあり取得して損はありません。
一方で地震に対する「最高等級にこだわり過ぎて窓が小さくなった」となってしまっては快適な暮らしが出来ないかもしれません。
性能は非常に大事な要素ではありますが、実現したいライフスタイルと照らし合わせてこだわりたいポイントも明確にしていきましょう。

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建物のレシピ1

家の性能はどこまで追求すべき?

レシピ習得度テスト

問題

建物の性能を見分ける便利なモノサシとは?

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