探していたエリアで土地が販売中という情報を得て、さっそく資料を取り寄せてみました。「何で同じ分譲地、土地面積なのに値段に差があるの?」。初めて土地探しをする人にとっては腑に落ちないかもしれません。でも、この不思議な値段の理由、実は「道路付け」にあります。ここでは土地と道路の切っても切れない関係を説明しましょう。
土地の値段を左右する「道路付け」
さて、ここで専門用語を覚えましょう。「道路付け」という言葉です。これは『敷地のどの方角に道路が接しているか』という意味です。そもそも道路に面していない土地に、家は建てられないので土地と道路はセット、切っても切れない関係なのです。
「道路付け」は物件概要のなかで、南側5m公道とか、西側4mアスファルト舗装というように表示されています。
南側、西側という方角と共に、『5m』、『4m』という道路幅をわざわざ書いているのにも意味があります。幅を聞いてもピンと来ないかもしれませんが4m幅では車のすれ違いがギリギリ、5mだと普通にすれ違い出来ます。生活しやすいという点で4mを超える幅は人気がある=『値段が上がる』という事になります。 次に道路幅よりも値段に大きな影響を与える方角の人気を見ていきましょう。
道路が同じ幅なら、道路の向きによって価格が変わる
例えば、下図のように東、西、南、北、4つの方角に道路がある9つの土地があったとします。どこが一番高くなると思いますか?
正解は南側道路です。日当たりのいい明るいリビングが保証されるので人気が高く、その分、他の道路より価格が高くなります。では残された東、西、北の道路の価格はどうでしょう? 答えは東、西、北の順番です。若干ですが東の方が西より高くなりますがほとんど変わらないと考えても問題ありません。対して北側は道路方向からの日当たりがほとんど望めませんね。それは土地の価格に反映されて、南>東≧西>北の道路付けで価格差が生まれます。
図では角地があります。角地は開放感もあり価値が上がるので9つの区画で最も価格が高いのは南東角地、その次が南西角地、そして南の順番となっていきます。
南向き道路がベストではない!?
「南道路が高いのは日当たりの価格」がおおまかな考え方です。一般的に南道路と北道路の土地では1割程度の価格差があるようです。高くても南道路は魅力的ですが、南道路、東道路、西道路、北道路、それぞれメリット・デメリットがあるということも理解しておきたいところです。
南道路のメリットは、とにかく日当たりです。リビングを南側に配置、1年中、明るい団らんスペースを手に入れることができます。またバルコニーの凹凸を利用した見栄えのいい外観を作りやすいのものメリットです。
一方、デメリットもあります。日当たりを得るために、南側に大きな窓をつけた場合、道路からの距離がある程度確保出来ないと視線が気になります。せっかくの明るいリビングなのに室内が見られているようでいつもカーテンを閉めるという本末転倒にもなりかねません。また子育て世代に人気の庭でプールやバーベキューも道路に近くなりますので検討が必要です。
メリットもあればデメリットもありますから、一概に「南道路がベスト!」とは言えないわけです。
東道路・西道路のメリット・デメリット
東道路のメリットは、東側が開けているので朝の光が入り、午前中の日当たりがいいですね。間取りとして、道路側に玄関を配置し、南向きにLDKを取ることができます。このプランならLDKは道路に向いていないので、道路側からのプライバシーは確保できます。また南道路より土地代は安くなります。
デメリットは、日中から夕方にかけて日当たりは悪くなるので、冬は寒くなりますね。
西道路は、プライバシーについては東道路と同じ。南側に配置したLDKのプライバシーが確保しやすくなります。午前中の日当たりは望めませんが、午後からの日当たりは見込めます。夏場の西日はジリジリ差し込むというのはデメリットですが、冬場は暖かく過ごせるのはメリットです。
北道路は安い!というメリット
南道路に比べて北道路は1割程度安くなりますから価格はお得。南向きに比べて、日当たりが悪いため、冬など暖房費が高くなりがちというデメリットはありますがメリットもありますよ。リビングや庭が道路側に面しないので、プライバシー空間をつくりやすくなります。何より土地の価格が安い分、建物のグレードアップも可能です。例えば『南道路との差額200万円だったら・・・』リビング吹抜で日当たりを確保して、冷暖房費の対策として太陽光発電を搭載すればデメリットを補う暮らしが十分出来ます。
北道路よりも、「旗竿地」はさらに安い?
この区画の真ん中にあるのが旗竿地です。道路に2m以上接道していれば家を建てられるルールに適用した土地で、専門用語で『旗竿地』、『敷地延長』あるいは『路地状敷地』と呼ばれます。この土地は通路を通って東道路に出る形状ですね。おおむねこの通路の幅は2.5m~2.8mくらい確保されており、駐車スペースとして使われていることが多いです。特に都市部で駐車場を2台分求めている人には重宝されています。
メリットは価格が安いこと。通路部分はほとんど土地代に含まれませんから、北道路よりも若干安いまたは土地面積が大きくなります。また道路に直接面しないので静かに暮らせ、プライバシーも高くなります。
一方、デメリットは周囲を建物に囲まれているため、日当たり、風通しがよくありません。路地状部分が長いと、水道管や電線の引き込みに費用がかかることもあります。また道路から家屋が見えないため、セキュリティは重視したほうが安心です。
土地と道路はセットです。土地がどの向きの道路に接道しているかによって価格に差が出ますが、どの道路付けにも一長一短があります。最初の9区画の土地の値段、東側と西側の土地を基準にすると下図のようになります。
地域やベースの価格によっても変わるので、おおよそのイメージとして覚えておきましょう。
金額ももちろん大事ですが実現したいライフスタイルはメリットデメリットを参考にして下さいね。