不動産売却とは?不動産を売りに出す理由とは?
「不動産は一生の買い物」という言葉を耳にすることがありますよね。確かに不動産は高価な買い物なので、買い替えるイメージはあまりないかもしれません。しかし、国土交通省が公開している土地売主の割合データをみると、土地(建物付きの土地も含む)の売主は法人よりも個人が多いことが分かります。

では、不動産を売りに出す理由はどのようなものがあるのでしょうか。
- より良い住環境への住み替え
- より広い住まいへの住み替えや、より便利な立地への住み替えを進める為の資金として住んでいた住宅や保有している不動産を売却する場合があります。
- ライフスタイルや家族構成の変化による住み替え
- 転勤によって家族で転居する場合や高齢となった際に戸建からマンションへ住み替える場合に、住まいを売却する場合があります。また、家族が増えて現在の住まいが手狭になる、もしくは子供が巣立ってしまったことで手広くなってしまう場合も住まいの売却が行われます。
- 相続した不動産の売却
- 相続によって譲り受けた不動産を売却するケースも多いです。相続した不動産を活用できるならそのまま保有し続けた方が良いですが、活用できない場合は、余計な税金を納めることになってしまいます。そういった費用を抑える為に、相続した不動産を売却し、現金化することで維持管理費・固定資産税等をなくすメリットがあります。また、相続人が複数となる場合、不動産をいったん現金化し、相続割合に応じて分配するために売却することもあります。相続した土地は「不動産登記簿」への相続登記が必要となります。土地を売ることが出来るのはその土地の所有者なので、「不動産登記簿」に記載されている人を事前に確認しておきましょう。
- 生活費の補填、借入金の返済
- 想定していなかった収入の変化によって生活が行き詰った際に、所有している不動産を売却する場合があります。住まいの購入に住宅ローンを利用し、住宅ローンの支払いが厳しくなってしまうケースがありますが、そういった場合は出来るだけ早い段階で不動産仲介会社などに相談しましょう。
以上の通り、不動産の売却は様々な理由で行われますが、大事なことは「不動産を売却する理由を明確にしておくこと」です。不動産の購入を具体的に検討する購入希望者は、購入を決断する前に、売却する理由を質問するケースが多いです。売却理由によっては、売却方法の選択や税金面が不利となってしまう場合がありますが、売却理由はとても重要な要素なので、詳細な売却理由を不動産仲介会社に伝えて、最適な売却方法を提案してもらいましょう。
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不動産会社の「買取」と「仲介」の違い
不動産の売却は、「買取」と「仲介」の2つの方法があります。ここでは、買取と仲介の違いとそれぞれのメリット・デメリットなどを説明します。
「買取」、「仲介」とは?
「買取」は不動産会社が仲介業者を介さずに、直接お客様から不動産を買い取る事です。一方で「仲介」は、不動産を売却するお客様と、その不動産を購入したい買い手の間に仲介業者が介入して、両社の契約を成立させることです。
1.飯田グループの買取

2.飯田グループの仲介

「買取」は売主と買主(不動産会社)が直接行うので、仲介のように買い手を探す広告や販売期間が不要となり、仲介に比べて短期で売却することができます。一方、「仲介」は売主の代わりに不動産会社が広告や販売活動を行い、一般の購入希望者を探します。期間は長期になることが多いですが、買い手が見つかると、不動産会社が契約手続きの調整をしてくれます。最後の残金決済・引き渡しまで不動産仲介会社がサポートする為、安心・安全に不動産を売却することができます。
「買取」と「仲介」の特徴
「買取」と「仲介」の特徴が売却にどのように影響するのか見ていきましょう。
仲介の場合 | 買取の場合 | |
---|---|---|
買主 | 主に個人のお客様 | 不動産会社 |
売却手続期間 | 一から買主を探すため買取の場合よりも売却手続きが完了するまで時間がかかる | 不動産会社が購入するため早期に手続きが完了できる |
売却価格 | 不動産市場の相場価格で売却できる可能性がある | 仲介と比べると場合によっては、売却価格が低くなることがある |
買主
まず「買取」と「仲介」では買主が違います。買取では不動産会社が買主となりますが、仲介の買主は主に個人のお客様となります。買取をした不動産会社はその不動産を改めて開発・建設を行い、付加価値をつけた後に販売用不動産として販売します。一方で仲介は、一般のお客様がご自身の住まいにするため購入するケースがほとんどです。
売却手続き期間
「買取」の場合は、買主が不動産会社となるため、仲介のように一から購入希望者を探す為の広告・販売活動が不要となります。そのため、販売期間がなくなり、短期間での不動産売却が可能となります。また、不動産のプロが買主となるので、売主と直接契約条件等を調整することができ、売主の事情に合わせた対応が可能です。したがって、売主が希望する売却スケジュールで進める事が可能になり、ローン解約による契約解除や、不測の事態の発生リスクも低いので、予定していた売却スケジュールに変更が及ぶことなく、より安心・安全に不動産の売却をおこなうことができます。
一方、「仲介」の場合は買主が個人のお客様となる為、一から購入希望者を探す必要があります。そのため、広告や販売期間によっては売却完了までが長期間に及ぶことを想定しなければなりません。また、仲介会社は通常3か月程度で成約することを想定した売却査定価格を提案しますが、市場の相場よりかなり高い売り出し価格を設定した場合や、立地条件、物件の状態などによっては、売却できるまで3か月以上かかってしまう場合もあります。これは決して珍しいことではなく、長い場合は一年以上かかる場合もありますので、売却スケジュールを立てることは非常に大切です。そして購入検討者が見つかった場合でも不動産売買契約を結ぶためには、買主との契約条件や引き渡し期限などの諸条件の決定も必要となりますので、売主のご希望条件で契約を進めることが困難な場合があります。無事契約を結んだ後も、最終的に売却手続きが完了する「残金決済・引き渡し」までは、通常2~3か月必要となります。そのため「仲介」は不動産を現金化するまでには一定期間かかってしまうことを覚えておいてください。
売却価格
「買取」の場合、販売期間がなく、売主の希望した売却スケジュールで進めることができる反面、不動産会社がリスクを加味した査定価格や、土地のみの査定価格になってしまうことがあるので、仲介の場合と比較すると一般的に売却査定価格は低くなってしまいます。しかし、不動産の状況によっては、不動産市場の相場価格と同等の価格で成約に至る可能性もありますので、「買取」と「仲介」の場合の売却査定価格を比較してみるとよいでしょう。
一方、「仲介」の場合は様々な広告媒体を利用し、購入希望者を広く探すため、市場の相場価格で成約に至る可能性が高いといえます。
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買取のメリット・デメリット
前述の通り、「買取」と「仲介」では「買主」「販売期間」「売却価格」が違うため、それぞれのメリット・デメリットも異なります。 仲介と比較した場合の買取のメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。
メリット
- 仲介手数料がかからない
- 買取の場合は、不動産会社が直接買主となるため、仲介手数料が発生しません。
- 早期売却で即現金化が可能
- 買取の場合は、不動産会社が直接買主となるため、売主の希望条件に合ったスケジュールで売却を進めることが可能となります。売却後の資金計画が決まっている売主にとっては重要なポイントです。
- 瑕疵担保責任などが免責
- 通常、仲介で不動産を売却した場合は、売主に設備修復責任や瑕疵担保責任の義務が発生し、不動産の引き渡し後、一定期間内に不動産の瑕疵(欠陥や不具合)や設備故障が見つかった場合は、売主の負担で修復することが必要となります。一方、買取で不動産を売却した場合は、不動産会社が買主となるので、瑕疵や設備不具合を踏まえた上で購入します。それによって売主の義務となる設備修復責任や瑕疵担保責任を免責とした条件が多く、引き渡し後の面倒なトラブル発生のリスクがなくなります。
- 内覧の必要がない
- 仲介で不動産を売却する場合は、購入希望者の内覧希望は出来るだけ受け付けて、内覧してもらわなければなりません。 一方、買取で不動産を売却する場合は、不動産会社が現地確認などをおこなうだけで、その後の内覧対応の必要がありません。仲介に比べて、時間や労力の負担が減ります。
- 様々な不動産を買取してくれる
- 土地・一戸建て・マンションなどの一般的な不動産だけではなく、個人のお客様の購入見込みが低い、広い土地やアパート一棟なども買取してくれることがあります。買主である不動産会社は、購入した不動産に付加価値をつけて再度販売するので、建物の欠陥や、設備に不備が見つかり、個人のお客様が興味を示さない不動産でも買取をしてくれる場合があります。
- 近隣や周囲に知られる可能性が低い
- 仲介で不動産を売却する場合は、ネットへの広告掲載や折込チラシなどの販売活動を幅広く行います。そのため、近隣住民や周囲に知られてしまう可能性があります。一方、買取で不動産を売却する場合は、買主である不動産会社と直接取引をするので、仲介のような販売活動が無く、近隣住民や周囲に知られる可能性が低いといえます。
デメリット
- 仲介より売却価格が低くなる可能性がある
- 前述の通り、不動産会社は売主から購入した不動産に付加価値をつけて再販売するため、リスクや経費を想定して購入します。その上で、不動産の状況に応じた買取価格となるので、価格が下がってしまう可能性があります。また、メリットでお話をした、売主の希望の売却スケジュールで進める事や設備修復責任・瑕疵担保責任を免責とする条件など、売主に大きなメリットとなる反面、そのリスクを不動産会社が負担するため、仲介と比較すると売却価格が低くなることがあります。
- 不動産によっては買取できない場合もある
- 買取で不動産を購入した場合は、購入した不動産に建物を建築したりして付加価値を付けた上で、再度販売することを前提として買取します。建物に欠陥が見つかった場合や、室内の使用状況がよくない状態でも、買取は可能となりますが、再建築が不可能な不動産や擁壁が老朽化している不動産など、再度販売することが難しいと判断される場合には買取ができない場合もあります。
不動産売却の流れとは?
次に、不動産を売却する際の流れを説明します。全体の流れを把握することによって不動産売却の成功に近づきますのでしっかりと確認していきましょう。
- 不動産買取の流れ
- まずは、不動産の買取の流れについて説明します。買取にはおおまかに4つのステップがあります。
- STEP1
査定依頼
- STEP2
査定額提示
- STEP3
売買契約
- STEP4
残金決済
1.査定
まずは、売却をしたい不動産の査定を行います。査定は不動産会社や不動産鑑定士に依頼するのが一般的ですが、自分でも調べることができます。国土交通省の「不動産取引価格交渉情報検索」を使えば、実際に取引されている価格を確認することができますので、納得できる金額で不動産を売却できるように事前に相場を調べておきましょう。自分で売却価格の相場を調べたら、次はプロに査定を依頼します。不動産の査定には「無料査定」と「有料査定」があり、無料査定は不動産会社が行ってくれます。一方、有料査定は、「不動産鑑定士」という専門資格者(国家資格)がより正確な査定額を算出してくれますが、「遺産相続で揉めた時」や「法人間での不動産取引」など、限られたケースで利用することがほとんどです。したがって、「無料査定」を利用することが一般的で、「有料査定」は限られたケースでのみ利用します。売却査定は、不動産の値段を知るもので、必ずしも査定を行った会社に売却依頼をしないといけないものではありません。査定依頼を何社かに依頼し、適切な査定価格を算出するのがポイントなので、焦らないことが重要です。また、不動産会社のページには売却の情報や会社の情報がたくさん掲載されていますので、正しい情報で良質な会社なのかをしっかり見極めるのも大事になってきます。
2.査定額を提示
不動産会社の査定が終わったら、金額の提示が行われます。提示された査定額が自分で調べた相場とかけ離れている場合は、理由を確認しましょう。買取で古い家がある土地の場合、家の解体費用を計上するので、査定金額が下がってしまいます。一方で、活用できる家がある土地の場合は、リノベーションし、再販するので、査定金額が上がる可能性があります。査定額の判断を誤らないよう、事前に把握しておきましょう。
3.売買契約
査定金額に納得したら、売買契約を不動産会社と締結します。売却する不動産の引き渡し時期は売主のご都合に合わせて決めることができますので、希望を伝えましょう。契約締結と共に手付金として売買代金の一部が不動産会社から売主に支払われます。
4.残金決済
売却物件に住宅ローンなどの借入が残っている場合は、売却代金を借入金の返済にあて、抵当権を抹消する必要があります。売却する物件に抵当権が残っていると、せっかく買った不動産を取り上げられてしまう可能性が買主に出てきてしまいます。したがって売却する際は専門家である司法書士に代行を依頼し、抵当権を抹消できるようにしましょう。面倒な手続きは司法書士が代行してくれるので、事前に相談することが大事です。抵当権の抹消が完了したら、最後に不動産を引き渡し、不動産売却が完了となります。司法書士に抵当権抹消登記の申請手続きの代行を依頼する場合は、司法書士に報酬を払わなければいけないので、その代金も頭に入れた上で売却を進めていきましょう。報酬代金の平均は約10,000円から20,000円程度となっています。
不動産の買取は、価格は別にして、とにかく早く売却したいという方にピッタリの方法です。買取は、不動産会社が直接お客様の不動産を買い取るので、現金化までのスピードが早く、1週間で売却手続きが完了する場合もあります。仲介のように買い手探しや内覧対応が不要な為、売却期間が短くなります。さらに、仲介手数料がかからず、瑕疵担保責任という、住宅に欠陥があった場合にかかる修復の義務も不動産会社が受け持つ為、余計な費用がかかることもありません。
まずは無料売却査定
売却と購入を一緒に進めたい、不動産をすぐに現金にしたい等、お客様の個別のご要望に合わせて対応させて頂きます。
- 不動産仲介の流れ
- 次に不動産の仲介について説明します。買取と比較すると、売却までの期間が長く流れが細かいので、1つ1つ丁寧に説明していきます。大きく分けて、ポイントは4つとなります。
- STEP1
査定依頼
- STEP2
媒介契約の締結
- STEP3
売却活動
- STEP4
売買契約・引き渡し
1.査定
売却したい不動産の査定依頼を行います。買取同様、まずは相場を自分自身で確認することをお勧めします。国土交通省の「不動産取引価格交渉情報検索」を利用して調べてみましょう。そして、査定依頼は複数の不動産会社に出すことが非常に重要です。なぜなら、不動産会社によって査定方法が異なり、算出される売却査定価格が異なることがあるからです。どの査定方法が良いなどはありませんが、高すぎても本当にその値段で売れるのかは分かりませんし、低すぎても正確に査定価格を算出しているのか不安になるものです。複数の不動産会社に査定を依頼してどの程度の価格になるのかを確認しましょう。
2.媒介契約の締結
仲介を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。売却において不動産会社選びは最も重要ですので、慎重に決めなければなりません。以下の3つは最も重要なポイントとなりますので、契約前に必ず確認しましょう。
- その地域に詳しく、査定価格の根拠を正確に説明してくれるか
- レスポンスが早く、信頼できる会社か
- 売りたい不動産の売却に強みを持つ会社か
その他、ホームページを確認して依頼する不動産会社の実績などを確認するのも良いでしょう。
依頼する不動産会社が決まったら、どの媒介契約を結ぶか決めましょう。媒介契約は3種類あり、自分の都合に合わせて決める事ができます。
媒介契約種別 | 複数社との契約 | 契約期間 | レインズへの登録 | 売却活動の報告 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | ○ | 無期限(通常3ヶ月) | 任意 | なし |
専属専任媒介契約 | X | 3ヶ月 | 媒介契約締結日 から5日以内 |
1週間に1回以上 |
専任媒介契約 | X | 3ヶ月 | 媒介契約締結日 から7日以内 |
2週間に1回以上 |
一般媒介の場合は複数社と契約できるので、販売活動を見てから1社に絞ることが可能です。ただ、手間や時間が多くかかる場合があります。最初からこの1社にお願いしたいという会社がある場合は、専任契約を結ぶことで様々なサービスを受ける事ができます。 専属専任媒介と専任媒介の大きな違いは、自分自身で見つけた購入希望者と契約を結べるか結べないかという点です。専属専任では不動産会社が見つけてきた購入希望者としか売買契約を結ぶことが出来ません。その為、友人や家族などの知人と契約を結びたいという場合でも必ず不動産会社を介して取引を行う事が義務づけられています。その他は表にある通り、売却活動の報告義務日程、レインズへの登録義務の期間が主な違いとなります。
3.売却活動
不動産会社との媒介契約を締結したら、物件の売却活動に進みます。売り出し価格を設定することになりますが、実際の売却価格は、一般的に最初の売り出し価格より低くなってしまう為、注意が必要です。そのため、いきなり相場の価格で販売するのではなく、最終的に希望価格で売却できるよう、売り出し価格を高めに設定する必要があります。しかし、最終的にいくらで売れるかは不動産売却のプロでも正確には分かりません。したがって、希望価格はなるべく幅をとるようにしましょう。ただし、「この値段で売れたら嬉しい」という価格はもちろんですが、「希望最低価格」も決めておきましょう。希望価格の幅を決めておくことで、資金計画にズレが生じる事も、安易に値下げ交渉に応じる事もなくなります。高く売れるに越したことはありませんが、損をしないようにすることが重要です。また売却完了時期を決めておくことも重要です。希望価格から値下げすれば早期に契約に至りますが、希望価格でなければ売却しない場合は成約までに長期間を要することになります。希望する価格で売る事だけを考えるのではなく、期限を決めて販売することも大切です。
4.売買契約・引き渡し
購入者が見つかったら、売買契約や引き渡しへ進みます。その際に各種費用や税金の支払いが発生しますが、売却先が決定した後で確認するのではなく、事前にどのような費用がどの程度必要なのか把握しておくことが重要で、主に「仲介手数料」や「抵当権抹消費用」などがかかります。一般的に売却総額の5~7%費用がかかると考えて下さい。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%)+ 6万円 + 消費税 |
印紙税 | 1,000円〜6万円 ※売却金額により異なる。 |
抵当権抹消費用 | 司法書士へ依頼するとして5,000〜2万円程 |
ローンを一括返済するための費用 | 一括繰り上げ返済にかかる金融機関への手数料1〜3万円 |
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税 | 売却した年の1月1日での保有期間によって異なる 保有期間が5年以下なら譲渡所得の39.63% 保有期間が5年超なら譲渡所得の20.315% |
その他費用 | ※費用項目より異なる。 |
他にも様々な費用がかかりますが、主な費用については「不動産売却の際の費用はどのくらい?」で説明します。
上記表の通り、売却した際には所得税や住民税、印紙税といった税金がかかります。また不動産を売却して得た利益は確定申告の対象となりますので、注意が必要です。
譲渡所得税と住民税は、売却する不動産の所有していた期間により異なるので、以下の表で確認しましょう。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下の場合 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超の場合 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
長期譲渡所得税の方が税率は低くなります。なお、譲渡所得に用いる所有期間は、売却した年の1月1日時点を基準とします。例えば、平成24年6月1日に購入した不動産を平成29年6月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年経っていますが、譲渡所得の判断基準は売却した年の1月1日時点となるので、所有期間は5年以下となり、短期譲渡所得に該当します。税率が短期と長期で大幅に変わるので、売却時期を見極める重要なポイントとなることを覚えておきましょう。
売却の大まかな流れは把握できたでしょうか。買取と仲介によって、かかる費用も変っていきますので、事前に計画を練るのがとても大切です。また、売却期間も大きく変わってきますので、自分に合った売却方法を選んで下さい。
不動産売却の際の費用はどのくらい?
一戸建てや土地、マンションなどの不動産を売却するときには、どんな費用がどの程度かかるのか事前に把握しておくことが大切です。この項目では売却の際にかかる費用について詳しく説明していきます。
売却にかかる主な費用は以下の6つとなります。
- 仲介手数料
- 印紙税(売買契約書に貼る収入印紙)
- 登記費用(抵当権抹消費用や司法書士に支払う報酬)
- 譲渡所得税(売却の際に利益が出た場合に発生する税金)
- その他必要に応じて発生する費用(測量費、解体費など)
- .引っ越し費用
1.仲介手数料
仲介で不動産を売却する場合に発生するのが仲介手数料です。支払いは売却が成立したときに成功報酬として支払います。一般的に、売買契約を結んだ時に一部を支払い、物件を引き渡した時に残りを払うことになっています。では仲介手数料はどのくらいかかるのでしょうか。以下表で仲介手数料の相場を確認しましょう。
- 不動産売却にかかる仲介手数料の相場
- 不動産取引で不動産会社に仲介をしてもらった際には、仲介手数料がかかります。 仲介手数料は、以下表のように国土交通大臣によって定められています。なお、仲介手数料には消費税もかかります。
仲介手数料の 計算方法 |
取引価格を3等分し、以下の計算方法によって 出た額の合計 |
||
---|---|---|---|
1円~200万円の部分 | 200万円~400万円の部分 | 400万円を超える部分 | |
取引価格の5%+消費税 | 取引価格の4%+消費税 | 取引価格の3%+消費税 |
物件価格別 不動産仲介手数料 早見表
物件価格 | 仲介手数料(総額) | 仲介手数料 | 消費税(10%) |
---|---|---|---|
500万円 | 231,000円 | 210,000円 | 21,000円 |
600万円 | 264,000円 | 240,000円 | 24,000円 |
700万円 | 297,000円 | 270,000円 | 27,000円 |
800万円 | 330,000円 | 300,000円 | 30,000円 |
900万円 | 363,000円 | 330,000円 | 33,000円 |
1,000万円 | 396,000円 | 360,000円 | 36,000円 |
1,500万円 | 561,000円 | 510,000円 | 51,000円 |
2,000万円 | 726,000円 | 660,000円 | 66,000円 |
2,500万円 | 891,000円 | 810,000円 | 81,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 | 960,000円 | 96,000円 |
3,500万円 | 1,221,000円 | 1,110,000円 | 111,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 | 1,260,000円 | 126,000円 |
4,500万円 | 1,551,000円 | 1,410,000円 | 141,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 | 1,560,000円 | 156,000円 |
このように売買価格によって仲介手数料は大きく変わっていきます。売却したい不動産の相場が把握出来たら、仲介手数料もこのくらいかかるというのが予測できます。事前に把握しておくことが大切です。
2.印紙税(売買契約書に貼る収入印紙)
売買契約書には印紙税がかかります。定められた金額の印紙を売買契約書に貼り、消印(印鑑などによる割印のこと)することによって納税したとみなされます。
売買契約書に貼る印紙の金額(印紙税額)は、契約書に記載されている金額、つまり売却した不動産の売買価格によって以下の表のように定められています。
※税額は2022年3月31日まで軽減措置が実施されています。
不動産譲渡契約書(売買契約書)の印紙税額
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
100万円越え500万円以下 | 1,000円 |
500万円越え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円越え5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円越え1億円以下 | 3万円 |
1億円越え5億円以下 | 6万円 |
※税額は2022年3月31日までに作成される契約書の場合
売買契約書は売主保管用と買主保管用の2通作成するので、2通分の印紙が必要となります。売主と買主で1通分ずつ負担するのが通常ですので、確認しておきましょう。※仲介会社と締結する媒介契約書に印紙税はかかりません。
3.登記費用(抵当権抹消費用や司法書士に支払う報酬)
不動産を売却する時は、所有権を買主に移転する「所有権移転登記」が必要ですが、この登記費用は買主が負担します。売主が負担する登記費用は、売却物件に住宅ローンが残っていた場合の「抵当権抹消登記」などの費用です。抵当権抹消には登録免許税のほか、司法書士に支払う報酬が必要です。金額は決まっていませんが、税額も含めて1~2万円が一般的な金額となります。
4.譲渡所得税(売却の際に利益が出た場合に発生する税金)
譲渡所得税とは不動産を売却した際に利益が出た時に発生する税金で、「所得税」と「住民税」の総称です。譲渡所得は、単に「売れた価格」ではなく、不動産を買った時の価格や費用、売るときの費用、それらの価格や費用を売れた価格から差し引いたものが譲渡所得となります。具体的には以下の計算式で求めます。
譲渡所得の計算式
譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用
計算式の「収入金額」とは売ったときの金額、「取得費」は買ったときの金額と費用の合計、「譲渡費用」は売ったときの費用のことです。取得費と譲渡費用は具体的に以下のような費用のことを指します。
【取得費】
- 土地・建物の購入代金や建築代金
- 購入時の税金(印紙税、登録免許税など)
- 仲介手数料
- 測量費、整地費など
- 設備費、改良費
- 一定の借入金利子
【譲渡費用】
- 仲介手数料
- 印紙税
- 借家人に支払った立退料
- 建物解体費など
- 売買契約締結後に支払った違約金
- 借地権の名義書換料など
ただし、建物は築年数の経過により価値が減少していくので、それに応じた減価償却費を
取得費の合計額から差し引くことになります。
譲渡所得にかかる所得税と住民税は所得に税率をかけて計算します。税率と計算方法は以
下の表のように、所有期間によって異なります。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下の場合 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超の場合 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
【短期譲渡所得】
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
※復興特別所得税の税率は2.1%で、これを所得税に乗じた値となる
【長期譲渡所得】
譲渡所得×20.135%(所得税15%+復興特別所得税0.315&+住民税5%)
長期譲渡取得では10年を超えると、譲渡取得のうち6000万円以下の部分について「マイホームの軽減税率の特例」が受けられます。
■【所有期間が10年超の場合のマイホームの軽減税率の特別】
譲渡所得6000万円以下の部分譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)
譲渡所得6000万円超の部分譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
もっと詳しく知りたい方は国税庁のページをご覧ください。
5.その他必要に応じて発生する費用(測量費、解体費など)
売却時には、必要に応じて以下のような費用がかかることもあります。金額は一律では ありませんが、一般的な目安額を示しておきます。
- 廃棄物の処分費・・・10~50万円程度
- 敷地の測量費・・・50~80万円程度
- 建物の解体費・・・100~300万円程度
- ハウスクリーニング費・・・5~15万円程度
上記の費用は不動産仲介会社に依頼すれば、費用感と専門会社を教えてくれるので、一度聞いてみるものいいと思います。あるいは自分で探した方が安く済むケースもあるかもしれませんので、調べてみましょう。ただし、解体業者を比較するときは見積額だけではなく、作業内容などについても確認を行いましょう。また近隣へ迷惑がかかることもありますので、配慮を忘れないようにしましょう。
6.引っ越し費用
引っ越し費用はネットを活用し、数社に見積もりをとってみましょう。なお、買い替えの場合は、旧居を売却してから新居に入居するまで仮住まいが必要となる場合があります。その時は「旧居から仮住まい」と「仮住まいから新居」の2回分の引っ越し費用がかかるので注意しておきましょう。
不動産売却を成功させるために必要なことは?
不動産売却を成功させるためには、不動産売却の基礎知識やノウハウを自分自身でも正しく理解しておくことが大事です。理解していないと、不動産会社選びにも苦戦してしまいますし、失敗してしまうかもしれません。また「買取」でも「仲介」でも不動産会社に任せっきりになってしまうと、本来、売れるはずだった価格より低い価格で売却をしてしまい、損をする恐れがあります。改めて、不動産売却で特に重要なことを確認しておきましょう。
不動産売却にかかる期間
不動産売却にかかる期間を事前に把握しておくことは非常に重要です。売主で漠然と不動産を売却する方はいないと思いますが、「いつまでに売りたい」と自分で決めておくことで、売却がスムーズに進みます。もし、「いつまでに売りたい」を決めていない場合、不動産会社選びに苦戦してしまう可能性があります。期限を決めることでその目的に合った会社を選別することが出来るようになり、期限を踏まえた媒介契約を選択することができます。もし、出来るだけ早期に売却したいのであれば「買取」を選ぶことをお勧めします。また、期限を定めないことで、売却するか否かの決断ができず、長期間売れない事態になってしまうことがあります。長期になると売却価格は下がってしまう悪循環に陥ります。納得できる価格で決断できるように期限を設けましょう。 不動産売却にかかる平均期間は3~6ヵ月ほどですが、物件の種類や状態、条件、エリア、時期など状況によっては売れるまでにかかる期間は大きく異なります。売却にかかる期間を短くするには、売り出すタイミングを引っ越しシーズンに合わせてみたり、仲介会社との契約の種類を見直してみたりするのもいいかもしれません。価格に納得できるのであれば、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」も方法の一つです。
不動産売却にかかる税金
不動産売却には、3つの税金がかかります。「印紙税」と「譲渡取得税」「住民税」です。売買契約時に契約書に貼る印紙にかかる税金が「印紙税」、不動産売却により利益が出た場合に確定申告すると同時に支払う「譲渡所得税」、確定申告することにより「住民税」が市区町村により自動的に計算され、6月以降に課税されます。これらの税金を考えずに売却計画を立ててしまうと、「想定していたより、残るお金が少ない」という事態に陥ってしまいます。特に売却資金を何かの費用に充てようとしていた場合は致命的な問題になるかもしれません。後で困らないようにそれぞれの税金がどのようなものでどのくらいかかるのか、ちゃんと確認しておきましょう。
最終更新日:2021年1月21日